試用期間は「正社員」ではないのか?(No.3)

Story.20

最後は、悪徳企業や試用期間記載のルールにも言及

遂に(と言うほどでもありませんが)Life Craft Works初のシリーズもの(ただ長くなっただけ)もこのNo.3で終了です。
No.1は試用期間は「信頼」を得るために重要な期間であることについて記載しました。
試用期間は「正社員」ではないのか?(No.1)

No.2は企業も試用期間の設定内容から、既に求職者から見られていることについて記載しました
試用期間は「正社員」ではないのか?(No.2)

No.3は、試用期間中と試用期間満了後で、変わる箇所、変わらない箇所についても記載しています。

試用期間が6箇月(以上)で契約社員、試用期間終了後正社員として労働契約を結ぶ

これは、過去の慣習でこうなってる会社もあるのでしょうが、中小零細企業はキャリアアップ助成金(厚生労働省参照)を受給する目的であることもあります。

試用期間が契約社員で6か月後に正社員なら、同時にピカチュウ助成金GETだぜ!!といったとことでしょうか。
中小零細企業は、本当に大変なところが多く、正社員雇用をしたくてもコスト的に難しい組織が多く、そのための助成金でもあります。
※この助成金で、企業も従業員も雇用の安定が図れればいいのですが、一時金では抜本解決しないことが多いのも事実です。

ここから少し助成金ビジネスについて記載します。
助成金(キャリアアップ助成金に限らず)ですが、助成金ビジネスを手掛ける悪徳企業(社会保険労務士事務所)が手引きをしている可能性があります。
人事総務部員をしていると、毎日のように「助成金について」と助成金ビジネス電話が掛かってきます。
本来税金(助成金)は、足りないところを補うために使用されるべきですが、貰えるなら貰った方が得、その手続きをするので助成金が出たら利ザヤを貰いますという法の隙間を突くような提案を、法を順守すべき社会保険労務士が積極的に携わっていることは、最悪の倫理観を持っていると嫌悪と軽蔑を持っています。
※顧問企業から頼まれて、現状から通りそうな助成金を提案するなどを除きます。あくまでも相手の会社の状況も知らずにローラー的に営業を掛けてくる社会保険労務士事務所のことです。
正直、毎日毎日電話応対する人件費とその間作業が止まることを考えると迷惑電話でしかないのです。

しかも、やってる方も迷惑行為+法律の穴を突いている倫理観が低い行動をしていると理解しています。
何故ならその悪徳企業(社会保険労務士事務所)からではなく、営業代行を使って電話してきますから、名乗りませんし、折り返しても「この番号は発信専用です」と自動音声が流れる始末です。

そういうことを受け入れている会社もコンプライアンスを順守する意識が低い(貰えるなら貰っておこう、他社が貰っているなら我社も貰わないと損、ばれなきゃいい)ので、こういった会社に就職すると長続きしないと思います。

試用期間中と、試用期間満了後に報酬や福利厚生が変わる

昼食補助が出ない、通勤交通費が出ない、給与が低いなど、雇用形態が変わらなくても報酬や福利厚生が変わる場合もあります。
これも極論を言えば、昼食補助や通勤交通費は法定外福利厚生であり労働基準法などで定めていないため、長く勤めることができるかどうか判断が利かない人材と継続雇用が認められる人材で対応を変えても問題ありません。
※年次有給休暇も入社後半年しなければ付与されないことを考えると、労働基準法でも暗に、半年勤めることができるかどうかが継続勤務可能かどうかの判断としているような気がします。

また、給与も最低賃金を下回らなければ良い訳ですから、特に問題のある変更ではありません。
当然極端な差を付ければ、内定を出しても辞退されるのであからさまな違いを設定することはあまり見かけません。

その上で、求職者がその会社のルールに従えないのであれば、辞退すればいいだけです。最終的な決定権は求職者にあるのです。

試用期間を含め、求職者が会社に求める「条件」と、会社が求職者に求める「条件」が違うだけであり、求職者が求める「条件」や「価値観」と違うからといって「ブラック企業」ではありません。

自分が嫌だと思う条件でも、気にならず内定を受諾する人もいますので、自分の「価値観」が絶対だと妄信して、相手を「ブラック企業」と断ずるのも、ましてや自分に合わせて相手の「ルール」を変えようとするなど、品性を疑いたくなうような身勝手な行動は控えましょう。

もう一度書きますが、嫌なら内定を受諾しなければいいですし、求人票を見て「試用期間」があれば応募しなければ良いだけです。

日本に住んでいてもアメリカに旅行に行けば、アメリカの法律に従わなければなりません。日本では車は左側を走るからといって、アメリカで同じことをすれば逮捕されるか事故を起こすだけで、「日本がこうだからアメリカもこうすべきだ」などと身勝手な言い訳は通じません。

就職もそうです。どこかの組織に属するのであれば、その組織のルールに従うのが当然のことです。ましてや就職であれば入社するしないの最終判断は求職者にあるのですから、不平不満を言うのはおこがましいです。

また、採用側も、誰か一人のためにルールを変えるというのは、その人材がルールを変えるだけの能力があり、それだけの価値があると判断した場合のみです。
ですので、試用期間に限らず採用側のルールを【自分一人のために変えたい】と思うのであれば、【あなた一人のためだけに】ルールを変えるメリットを提示する必要があります。

試用期間の扱いについて

試用期間を設ける場合は、雇用契約書や就業規則に試用期間時の取り扱いについて記載しなければなりません。

試用期間中でも加入要件を満たしている場合は、労働保険や社会保険などに加入させる義務がありますので、加入できないと言われたときは理由を確認しましょう。
※加入要件を満たしていないため加入できない可能性があるため

試用期間中でも残業代(休日出勤代)は支払う義務があります。また法定外残業の場合は割増賃金も支払う義務があります。

試用期間中であっても最低賃金を下回る賃金では契約できません。

事前に試用期間が賞与の査定期間に含まれるか確認しましょう(特に雇用形態が変わる場合)。
賞与は「7月の賞与の対象者は1月1日時点での在籍者」などの規定が決められていますので、自分の入社日と賞与対象となるタイミングを確認しましょう。
一見、1月1日入社なら7月に賞与が出そうですが、在籍者に試用期間の従業員が含まれない場合、試用期間満了後の翌日が、賞与査定期間としての在籍者初日となります。
特に、試用期間は契約社員で満了後に正社員に切り替わる人は要注意です。

試用期間も年次有給休暇の試算機関に含まれることを確認する。
年次有給休暇は、試用期間、雇用形態に関わらず「入社後6箇月間継続勤務(全労働日の8割以上出勤)していること」が条件となります。
試用期間や雇用形態を理由に、年次有給休暇の取得を遅らせる会社はコンプライアンス重視の意識が低い会社ですので内定受諾は控える方が無難です。
法令順守という当然のことが行われているか、労働契約を結ぶ前に必ず確認しましょう。

このように「試用期間」を理解すると、怖くはありません。

知らないから不安になる。
知らないから不利益を被る。
知らないから自分の当たり前が正しいと思ってしまう。

この様なことにならないために、「働く」を学ぶことを怠らないでください。

最後に…

試用期間中も正社員雇用にも関わらず、「試用期間」「本採用」などと言う企業への入社は絶対にやめましょう。
本採用も何も、正社員採用した時点で本採用です。
労働基準法を理解できていないか、理解して悪用しているかのどちらかです。

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