これから社会へ羽ばたく若者へ

Story.7

6月1日は既に形骸化しているが名目上は選考解禁日

この日、一喜一憂する学生さんが多いのではないでしょうか。

まだ早いですが、これから社会へ羽ばたこうとする若者へメッセージを贈らせてください。

私が目を通しているライトノベルに次のような一説があります。
「未来」や「将来」に対して期待と同じくらい大きな不安を抱えている若者は、自分を支える「経験」や「実績」が不足している分、「自負」や「自信」に依存している部分があるものだ。

魔法科高校の劣等生4 九校戦編(下)

就職間近に贈る言葉のようですが、就職するまでに時間のある時期だからこそ伝えたい言葉です。

想像と現実のギャップ

皆さんは「リアリティショック」という言葉を知っていますか?
これは、学生時代に「想像」していた会社や仕事と、実際に働いてみる「現実」とのギャップのことです。

「自己分析」「自己理解」「職業理解」「会社理解」が甘ければ甘いほど、「想像」とのギャップ、つまりリアリティショックが大きくなり、「想像と違う」となってしまい早期離職に繋がってしまいます。

ですから、内定が出たから終わりではなく、内定が出た今だからこそ「自己分析」「自己理解」「職業理解」「会社理解」をしっかり深めて欲しいのです。

社会人生活が長くなればなるほど、「経験」や「実績」で判断ができるようになり、「想像」ではなく「現実妥当なビジョン」が描けるようになります。

しかし、大学でのキャリア教育は、「働く」という現実を伝えてはくれません。正直言って日本はキャリア教育後進国です。
大学までのキャリア教育で社会に出るのは、小学校で習う因数分解で、大学のキャンパスライフを楽しめというぐらいレベルの低いものです。

だからこそ、それまでに得た「自負」や「自信」は木っ端微塵になってしまう新入社員が多いのです。

リアリティショックは、キャリア教育のレベルの低さが招いているのです。

昔話

ここでちょっと私の昔話をします。
私はITの専門学校で当時は珍しい3年コースに通っていました。紆余曲折はあるものの、良くも悪くもない平凡な成績で卒業し、当然のようにIT業界へ就職しました。

成績はパッとしませんでしたが、それでも3年間専門的に経験してきたという「自負」と2年コースの専門生や大学生には負けないという「自信」がありました。

そして入社当日、案内されたデスクの上には大きな箱が2つとファイルが置いてありました。

それは、デスクトップPCとディスプレイ(当時はブラウン管)、そして業務に必要なソフトウェアのインストールCDでした。

先輩が事も無げに伝える「今日は仕事ができる環境を作ってくれたらいいから」という一言に絶望を覚えたのを覚えています。

今まで専門学校では、PCは組み立ててあるし、OSどころか学習に必要なソフトウェアもインストール済みです。全てお膳立てされた中で勉強してきて、その環境を作る術を知らないことに愕然としました。

「自負」と「自信」があるからこそ、先輩には怖くて声がかけられません。「え?3年も通っていてPCの初期設定もできないの?」と言われることを想像すると、「3年通っていた新人は使えない奴だった」と思われるのではないかと想像すると、初日で職場に居場所が無くなるのではないか、今までの経験は全く意味がないのではないか…そんな恐怖に襲われました。
この後の話はまた別の機会に書こうと思いますが、これが入社した初日にぶつかった最初の壁でした。

このエピソードはリアリティショックとは若干ずれる話ですが、それくらい社会に出ると、今まで当たり前に用意されていたものが用意されなくなります。

そして、それくらいできなくて当然なのです。

会社は新卒生に「成果」を期待していません。期待しているのは「成長」です。
分からないことを認め、受け止め、次から次へと現れる「壁」を突破することが期待されています。

だから、覚悟しておいてください。就職したら「壁」はすぐやってきます、「想像」とはかけ離れた「現実」にぶつかります。

私がもし昔の自分に声を掛けるなら、来春新入社員になる学生に声を掛けるなら「自惚れるな、何も経験していないのに、現実を体感したこともないのに自分の能力を過信するな、それは「自信」ではなく「驕り」だ」と…そして、「でも安心しな、会社も上司も先輩も、今のお前ができるなんてこれっぽっちも思ってないから…ゆっくりでいい、わからないことは恥ではない、頭を下げて、聞いて、勉強して、そしてたくさん失敗したらいい、それが成長に繋がるのだから」と。

Life Craft Worksの信念

私たち(と言うか私)は、記事で甘いことは書きません(きっとパートナーが書くと違うと思います)。それは「新卒生は使えない」とか「意識が低い」とか見下したいわけではありません。
早い段階で「働く」とはどういうことなのか、「働く」うえでどういった意識が必要なのか、それを少しでも知って欲しいからです。

今すぐ実践できなくても、反対意見であっても、目を通して頭の片隅にあれば、ある瞬間に「そういえばこんな記事あったな」と思い出して、それが少しでも多く仕事で悩んでいる人の解決の糸口になれば嬉しいと思っています。

昨今、国政によりキャリアコンサルタントが国家資格化されました。その結果、普通運転免許程度の簡単な試験になり、誰でも取得可能な名ばかりの資格になったと私は感じています。

そして「ワンコイン相談」とか「経験が少ないから」「自信が無いから」と無料若しくは破格の値段で相談を請け負うキャリア支援者が量産されています。

逆に資格を取得したばかりで圧倒的な経験不足にも関わらず、お金をかけて明るいホームページを作成し、さも支援ができるように装っているキャリア支援者も量産されました(こちらは元CAとか、元アナウンサーとかで見目がそこそこ麗しいと自負している方が多いようです)。

はっきり書きますが、キャリア支援は自分のためにするのではありません。

キャリア支援は、相談者の人生の岐路に関わる大事な瞬間に携わるものです。その覚悟も自身も経験もないなら、タダだろうが格安だろうが、他人の人生に関わるべきではありません。

キャリア支援は、支援者が「支援したいという自己満足のため」にするものではありません。

キャリア支援者は、相談者に好かれる必要はありません。良好な関係は支援の効果を高めますが、「手段」であって「目的」であってはなりません。
キャリア支援者が好かれる必要など何一つないのです。大切なのは相談者が、相談者の人生を自らの意志で歩めるようになることです。
誰かの人生に関わるということは、甘い言葉や耳障りのいい言葉だけで成り立つほど簡単なものではありません。必死に明日を掴もうとする相談者の人生がそんなに浅いわけはありません。

私たちは、その人生に関わる「覚悟」と「信念」のもとに活動をしています。

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