公務員って楽じゃないよ?

Story.8

公務員は安定しているから

景気が悪くなると親世代が「公務員は安定している」と口をそろえて言います。

果たしてそうなのでしょうか?
いくつかの観点から「公務員」という職業を見ていきます。

公務員は安定しているのか?

答えは(一応)安定している。

公務員と言っても国家公務員や地方公務員、さらに国会議員、消防士、公立学校の教員、都道府県職員、市町村及び特別区の職員など沢山あります。
新卒の就労という観点で見ると、地方公務員(都道府県職員、市町村及び特別区の職員)を指していることが多いので、都道府県職員、市町村及び特別区の職員に絞って書いていこうと思います。

地方自治体の税収は潤っているかというと、自治体によって大きく変わります。
財政破綻した自治体や今にも財政破綻しそうな自治体も多くあります。

とはいえ、地方自治体が破綻する頃には地域経済は深刻な状況になっている場合が多いのでそれを考えるなら、地元の民間企業と比べると破産するのは遅い方だと思います。
そういう意味では、公務員は「安定している」ではなく、「潰れにくい」といった表現になるのではないでしょうか。

公務員は楽?

次によく聞かれるのは「公務員は楽だから」という言葉ですが、これは大きな誤りです。
地方公務員結構ハードですよ?

数年(3年~5年)に一度の部署移動

これは、民間業者との癒着を防ぐためだそうです(伝聞ですので正確性は欠けます)。
そのため、業務知識をゼロから入れ直しになります(しかも(おそらく)ほぼ引継ぎされていません)。
仕事を覚えたと思ったら異動(都道府県職員であれば、都道府県内のどこに異動になるかわかりません)です。

公共の委託事業を受けて長い期間お付き合いしていると、本当に担当者がコロコロ変わり、禄に引き継ぎもされていない方ばかりが後任になります。言い方は悪いですが、公共の担当者が変わる度に業務についての説明が必要になり、ノウハウも何もなく一からやり直しになるので、相当嫌がられています。
上で(おそらく)ほぼ引継ぎされていないと書いたのはこのためです。

残業代は出ません

公務員って定時で帰れると考えている学生さんが多いですが、そんなに甘くはありません。
催しの前など、担当部署の皆さまは日が変わるまで対応していることを何度も目にしています(朝方まで仕事して肌がボロボロになっている職員さんもたくさん見てきました)。
(特に今時期だとコロナの影響で公共の催しが予定されたり、取り消されたり、その度に広報が必要ですし、大忙しではないでしょうか…)

公共事業の予算は先年度末に決まり、予算配分がされます。そして公務員は労働基準法ではなく国家(地方)公務員法の対象となるのですが、基本的にそこに残業はありません(正確に書くと似たような概念はあり、多少予算が割り振られているのですが当然使い切ったら終わりです)。

ですので、延べ労働時間に対して、給与がいいかと問われると、「はい」とは一概には答えられません。

あなたのアイデアは求められていません

先ほども書きましたが、今年度の予算は年度末に決まります。そして予算が決まるからこそ今年度の入札額や事業内容などが決まってくるわけです。
何にどれだけ使うかが決まってから業務が始まるので、やり方を変えるようなアイデアは求められていません。慣習に沿って業務を遂行することが求められます。

しかし、これは公共事業という側面で見ると悪いことではないのです。
税金を使っている以上、公共事業の対象者となる人には広く平等に還元されなければなりません。
そうなると、革新的なことや一部の方が恩恵を受けるやり方ではなく、今まで確実に成果を出してきたことが大事にされることは当然のことです。

ベンチャー企業が「超革新的」を目指して新しい価値を生み出そうとするのであれば、公共機関は「超保守的」で、既存の価値観や成果を維持継続することを大事にしています。
自分が住んでいる都道府県や市町村及び特別区の政策がコロコロ変わって安心して生活できるでしょうか?
時代の最先端で常に変化し続けることも大事ですが、公共事業では変わらないことによる「安心感」を提供することが大事だと思います。
それでも職員さんの努力により少しずつ中身は改善されています。ただしそれは大きな目に見える個所ではなく、見えない小さな箇所の変化で5年10年経った時に、「気づいたら昔とは変わってるね」と感じるものだと思います。

どちらが「良い」「悪い」の問題ではないのです。

ただ、「保守的」であることが地方公務員を辞す理由で多いのは確かですので、そのことは頭の片隅に入れておいてください。

綺麗な机や椅子、最新の設備は期待できません

これは書かなくてもわかるかもしれませんが、税金を使っているわけですから、光熱費や備品などの費用は限りなく抑えられます。 快適な職場環境とはいかないことは覚悟しておいてください。

税金の無駄遣い

窓口勤務の職員に言えることですが(大半は正職員ではありませんが)、「自分は納税者だから何を言ってもいい」「自分は納税者だから自分の期待する動きをしないと気に食わない」「自分は納税者だから5分待たされるのは気に食わない」「自分は納税者だから何を言ってもかまわない」という浅はかで愚かでくだらない人間に「税金の無駄遣い」呼ばわりをされます。
窓口で延々といちゃもんつけているお前に構っている時間こそが「税金の無駄遣い」だと思っても口に出すわけにはいきません。
公共のサービスと言うのは納税者に対しては基本的に「無料」ですので、品性の低い、品格の悪い生き物も分け隔てなく相手にしないといけないのは覚悟しておいてください。

ちょっと違う話ですが、ワインセラーを営んでいる方が、啓蒙活動の一部で、もっとワインを知ってもらおうとワインを安く飲めるプランを用意したところ、クレームが増えたそうです。

一言で書くなら客の質が落ちたということです。

この場合、ワインに高いお金を出せるかどうかでなく、相手の仕事や成果に対して尊敬を持って対価を払える人と、お金を払ってやってるから当然の権利だとしか感じない人の違いです。
特に公共のサービスに対しては、後者を生み出しやすく、公務員に対しては自分の手足ぐらいにしか考えていない残念な生き物も一定数いますのでご注意ください。
(生活保護の受給を受けていて救急車をタクシー代わりに使う愚か者と同じです。こういう輩が存在するから、本当に生活保護の受給が必要で生活困窮している人たちに飛び火するのですよね…)

こういう人には公務員になって欲しくない

最後になりますが、当然と言えば当然のことを書きます。
相談者の中には「都道府県庁」と「市町村及び特別区」の両方や、別々の支庁に内定をいただく方がいます。

そして「どちらの仕事が楽ですか?」こう聞いてくる方が時々います。

その場合は「納税者としてそういった意識の方に私の税金は使って欲しくないので、正直両方辞退して欲しいです」とはっきり答えています。
そして「議員と同じで、職員が選挙で選ばれるとして「楽だからこちらを選びました」と言う人にあなたは、自分の税金を使ってくださいと票を入れますか?」とお伺いしています。

私は、こういった意識の方が公務員になるのが一番の税金の無駄遣いだと思っています。

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