仕事における「やりがい」という概念

Story.10
※今回の記事は就労の話に入るのが後半になります。

「やりがい」探しは時間とお金の無駄

啓蒙スクールやカルチャースクールに踊らされて一時期いい大人に「やりがい探し」が流行った時期がありました。

「やりがいがある仕事を見つけよう」「仕事以外でやりがいを見つけよう」
こういう矛盾したキャッチコピーが乱立してしました。

そして「やりがいの無い人生は寂しい」「やりがいのある人生はなんだか幸せも素敵な出会いも手に入れる」的な風潮で、まるで業後に何か習い事に通わない人は向上心の無い人間的な酷い有様でした。

そもそも普段から意識の高い人は、自分なりの意識の高め方を知っており、それが「やりがい」と必ず一致するとは限らないと知っています。

実際、世の中の風潮に流されて思い付きで英会話教室やフィットネスクラブ、人によっては陶芸や座禅のためにお寺なんかに通った人も多いのではないでしょうか?
その方々は何割ぐらいがまだ続けているのでしょうか?
何割ぐらいが、「やりがい」を手にしたことで明るい人生を送れているのでしょうか?

私は「やりがい」とは無理やり見つけようとしても大半が一過性で終わると考えています。

「やりがい」は「未来」には存在しない

何故このようなことが起きるかと言うと、今まで興味はあったけどやっていなかったことにチャレンジしているからに過ぎないからです。

これは「やりがい」ではなく「やりたいこと」や「やってみたいこと」「チャレンジしたいこと」になります。
(やっとタイトルに近づいてきました…)

未知の経験は、どんなに想いを巡らせても、どんなに事前に情報を収集しても想像でしかなく、実際に体感すると、体感する前とは違う印象を受けることも多いです。

そして何よりも、「やりたいこと」は、必ず「やりがい」に変わるわけではありません。

私もたくさんの「やりたいこと」があり、チャレンジした結果、実際に趣味として続いているものもありますが、それが「やりがい」かと言われると、私にとっては全く別物です。

未来の出来事にチャレンジすることで「やりがい」を求めるのは手法としては最適解ではありません。
※「やりがい」に変わる可能性が無いとは言えないので全ての人にとって間違いともいえませんが…

「やりがい」は「過去」の経験の中に存在する

では、「やりがい」はどうやって見つけるのでしょうか?
学校生活や就職活動で忙しい中、「やりがい」を見つけようとしている就活生の相談を受けることもあります。

「どうやって見つける」と質問形式で書きましたが、「やりがい」は見つけるものでも、探すものでもありません。

自らの人生の中で「やりがい」と感じたものこそが、自分にとっての「やりがい」なのです。

「やりがい」は、未だ経験していない未来には存在せず、自分の人生の轍の中にしかありません。

語弊があるといけないので注記しておきますが、新しく何かを経験した結果「やりがい」に変わることもあります。時系列的には今よりも未来かも知れませんが、経験した「過去」にしか生じないという意味です。

就職活動における「やりがい」探しもやはり時間とお金の無駄

経験したら「やりがい」に変わるなら、やっぱり気になることにどんどんチャレンジしたらいいのでは?と思うかもしれませんが、気になること、やってみたいことは結構「趣味」の領域「楽しい」で止まることが多いです。
私も、ゲームに漫画に映画鑑賞、本を読むのも好きだし、ビリヤードも楽しい、最近はダーツも始めたり、労務系の勉強も役に立つので好きですが、「やりがい」かと言われると違います。

「やりがい」探しを目的に啓発セミナーやカルチャースクールに通うのも、想像しただけで時間とお金を無駄にするという確信しか得られません。
※純粋に知識を求めたり、趣味の領域で参加するのは大好きです。

未来の行動は無限に選択可能な中で、自分の「やりたいこと」が「やりがい」に変わる保証はないですし、「やりたいこと」をすべてやりつくしても「やりがい」にはならないかも知れない。

このことを考えると、現時点で「やりがい」を感じる経験をしていないのであれば、就活で時間もなく、お金も係る時期に「やりがい」探しの優先度はかなり下の方になると言わざるを得ません。

そもそも「やりがい」の定義を間違えていないか

今まで書いてきた「やりがい」とは、世の中の人の多くがイメージする「やりがい」ではないでしょうか。
実際、自分の両親や通学途中にすれ違う社会人、アルバイト先の正社員…やりがいを持って働いているように見えますか?
大半の社会人は大層な「やりがい」なんて無くても働いています。

しかし、確かに日々の業務の中で、「時間通りに終わらせること」や、「ミスなく計算すること」「お客様を笑顔でお店を出ること」などに、日々の「目標」や「やりがい」を持っているなどはあります。

しかし、「人生を賭して、これが私の「やりがい」です」などと語れる人は本当に極一部です。
そして良い意味でも悪い意味でも「やりがい」とは経験することにより変わります。

新卒で入社して、漠然とした「やりがい」を持っていても人間関係に悩み苦しみ、「やりがい」どころか自分自身を否定してしまうことや、逆に考えてもいなかった経験から、別の「やりがい」を感じることもあります。

この様に、多くの人にとって「やりがい」とは、「日々の小さな目標」と「変化し得るもの」なのです。

「やりがい」という単語だけが独り歩きしていますが、就活生の皆さん、その単語に踊らされないでください。

振り返ると、あなたの人生の轍の中に「やりがい」は確かに存在しています。

面接で「時間通りに終わらせることがやりがいです」と言うと、「そんなこと当たり前だ」「そんなことがやりがいなの?」と言われそうでとても言えないと思うかも知れません。

だからこそ、どうして「時間通りに終わらせること」が「やりがい」であったり「喜び」であるのか、しっかり自己分析をして、その自分の中にある「確かな想い」を形にする必要があります。
それを、面接で伝えることができれば、今まで自分では大したことではないと思っていた自分自身の経験が、あなただけの経験に基づく最大の武器になりますよ。

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