好きを仕事にすると、好きに仕事ができるは違う

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個性が仕事としか結びつかない残念な文化

最近、といっても結構長い間、教育において表面上は「個性を大事にする」ことが重視されるようになりました。
表面上と言うのは、まだまだ、「女の子らしく」「男が泣くなんて」「子供らしくない」など、個性を口にするにもかかわらず個性を許容できない、自分の理解の及ばない範囲は個性ではなく白い目で見るなど、個性という言葉を表面的にしか使えない人が多いからです。

とはいえ、表面的で一部であれ画一化した価値観を強要しなくなったのは、素晴らしいことだと感じています。
しかし、その結果「好きを仕事にしよう」という風潮が産まれました。

好きなことを仕事に出来るのは素晴らしいことですが、ここにミスリードが発生しています。

そもそも、「好き」とか「個性」とか「将来の夢」が「職業」にしか結びつけることのできない教育は残念極まりないなと思いますが、主旨から逸れるのでこの件については別記事にて改めて記載します。

好きなことを仕事にするときの「仕事」とは何か

この解がわかると、度々争われる「好きなことを仕事に」と「好きなことは仕事にしない」論争がそもそも別のことで争っていることに気づけます。
※ちなみに昔からあるもう一つの論争「きのこの山」「筍の里」論争ですが、私は圧倒的に「筍の里」派です…

例えば、あなたが「絵を描くことが好き」だとします。
絵を描くことを将来の職業にしようとすると大別すると「アーティスト」と「デザイナー」2種類の選択肢があります。
※この分類は、あえて大雑把且つわかりやすい対比構造にしてあります。実際の「仕事」は業務範囲は簡単に分かれませんし、絵を描くという観点で「アーティスト」と「デザイナー」以外にも仕事はあります。

1.アーティスト
自分の好きな絵が、好きな時間に自由に書けます。そしてあなたの絵を気に入った人だけが購入してくれます。
半面、自分自身で価値を見出せなければ誰にも見向きをされません。
また、依頼を受けて絵を描くと相手の意向が反映される(次のデザイナーと同じ状態になる)ので「絵を好きに描く」という観点ではお勧めできません。

2.デザイナー
デザイナーとは「絵を描くこと」が目的ではなく、多くはお客様の目的を達成するための手段として「絵を描く、デザインする」ことになります。
当然、お客様の目的を達成しなければならないですし、相手の意向が入ります。
また、プレゼンテーションをするときに、「自分のセンスで好きなように作りました」とはいきません。
例えば背景を「青」にしたとして、何故背景が「青」である必要があるのか、別の色よりお客様の目的を達成できる理由を提示できなければなりません。
もしくは相手に「青」か「緑」を選択してもらう時に、それぞれのメリットやデメリットなど、相手が判断できる情報を提示しなければなりません。
極論を言えば、すべての具材に対して「お客様が投資する費用に対しての効果を伝える義務が生じる」と言うことです。
(費用対効果、コストパフォーマンス、ROIなど言われるやつです)

想像してみてください。
自分がお客の立場で「こっちの方がいいと思ったので自分のセンスで「青」にしました」と答える人と「過去の統計や、市場調査の結果「赤」よりも「青」の方が売り上げが20%高くなるデータがあります」と答える人とどちらに仕事を依頼するでしょうか?

「絵を描くのが好き」ということは、少なからず絵を描く技術を持っていると思いますし、得意分野や既得の技術を仕事にするという考え方は間違っていません。

焦点にしなければならないのは、自分自身の「価値観」「信条」「想い」をアウトプットにどれだけ込めることが出来るかどうかとなります。
あえて厳しい言い方をするならば、アウトプットに対して会社や顧客は、あなたの「価値観」や「信条」「想い」は求めていません。
目的を達成するための「技術」やそれがもたらす「結果」を求めています。

つまり…
「自分の創造物の価値を欲しいと思える人に買ってもらう仕事」を選ぶ ← 好きを仕事に(アーティスト)派
「自分の欲しい価値に合わせて想像する仕事」を選ぶ ← 好きは仕事にしない(デザイナー)派
となります。

好きを仕事にしたい方は、一度自分が何をアウトプットしたいのか、何がアウトプットできるのかを考えてみるといいかもしれません。

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