上司(役職者)に求められる役割とは何か?
役職には上司、リーダー、マネージャー、管理職など、与えられた職責や所属する組織によって呼ばれ方は変わりますが、簡単に書くなら文字通り、リーダーは「リーディングする役割」、マネージャーは「マネージングする役割」、管理職は「管理をする役割」を与えられています。もっと乱暴に書くと、同じ経験年数で、役職が付いていない人が20万円の報酬で、管理職が25万円の報酬であれば、5万円が管理する仕事に対する報酬となります(組織によってはもっとわかり易く、役職手当5万となっている場合もあり)。
会社は管理職者に対して、「管理をする」から、「管理をしない」人に比べて5万円多く払いますよ…と報酬を増やしているので、管理できないのであれば、単純に書くならば5万円分は評価から差し引かなければなりません。
※本来はもっと複合的な要素がありますが、あくまでも単純にわかり易くした場合です。
この、管理職やリーダーと言うのは、傍から見るよりもスキルや意識が必要な職務であり、このポジションンの人が未熟だと組織に混乱を招きます。
今回は、その中でも組織を崩壊させる「自分に権力があると勘違いしているモンスター管理職」を紹介してみたいと思います。
自分に権力があると勘違いしているモンスター管理職
このタイプは、自分が居なければ仕事が回らないと勘違いしており、自分自身も一介の従業員にしか過ぎないにも関わらず、まるでその組織の絶対的権力者かの如く振る舞うタイプです(お局様タもここに分類されます)。このタイプは自尊心が増長し、偉そうで、威圧的で、人を見下し、ハラスメントを平気でしていきながら「こんなことができないお前が悪い」「お前辞めろよ」などと暴言を吐きます。自分が気に入らないという理由だけで相手の人格をも否定する、さらに一言でも反論しようものなら、「俺様に楯突くなんて」と真っ赤になって、怒り狂う人としての品性も品格も備えていない残念なタイプです。
公共の乗り物で気に入らなければ怒鳴る人と同じで、他人を見下さなければ自己承認ができないカッコ悪い残念な生き物だな~と私は思っています。
このタイプは、割と小さい組織に長く勤めている年配の方に多く、自分では仕事が出来ているつもりですが、社会人経験が長いわりに「管理職」と言う役割を全く理解できていない残念な頭脳の持ち主です。
そして、このタイプを生み出している本当の要因は、社長であり人事です(社長自身がこのタイプの場合は手が負えないので、即効退職することをお勧めします)。
この記事にも書いていますが、無期雇用社員は、社内の秩序を保ち、会社を維持発展させる義務があります。
雇用形態と評価とのジレンマ
しかし、このタイプがいる組織は、会社を維持発展どころか新入社員が続々と絶賛現在進行形で退職中だったりします。
無期雇用社員は、社内の秩序を保ち、会社を維持発展させる義務があり、報酬が多い、役職が高いほどその責務は大きく重要になります。
しかし、新入社員を何人も辞職に追い込んでおいて「最近の若い者は仕事ができない」「心が弱い」などと平気で言い、自分に関わる人がこぞって心を痛め仕事を辞めていくことに対し、全く自分が原因だと思えない残念さは、組織どころか世界にとって害悪以外何物でもありません。
これは本人自身もそうですが、社長や人事が「職責」を全うしていないからに他なりません。厳しいようですが、何人もの人間を壊し、また会社の次世代を担う人材を何度も退職に追い込み、採用コストを無駄にし続ける害悪が偉そうにしていられるのは、社長や人事がそれを許しているからです。
こういった害悪が存在する組織は、分かっていながら社長や人事が「なんだかんだと言い訳をして」放置しているか、進言しても取り合ってもらえないのであれば、会社の方針として「組織運営をするに当たって、害悪以外何物でもない管理職もどきの方が、辞めていった何人もの人よりも、今苦しんでいる社員よりも大切で、この害悪一人のために多くの人が精神疾患になっても構わない」と口に出さなくても明確に打ち出しているのに他なりません。
害悪爆誕プロセス
この害悪が小さい組織に多いのは、長く勤め組織の大事な部分を握っていて「俺を首にしたら会社が困る」などと思っているからです(規模が大きな組織だと、ローテンションや全貌がつかめないこと、そもそも優秀な人材がいるため、この害悪は育ちにくい)。この害悪が爆誕するプロセスは、キャリア支援に関わる人間であれば当然のように知っている、エドガー・H・シャイン博士(Wikipedia参照)のキャリアコーンで説明できるのです。
※二次転載になるためキャリアコーンの画像は未掲載ですが、キャリアコーンをGoogle先生で調べると、テキストを転載した概要レベルの浅い解説とともにすぐに見つかります。
このキャリアコーンで、問題になるのは、「中心性」と呼ばれる箇所になります。
ここでキャリア理論を論じるつもりはないので簡単な説明をしますが、同じ部署に長く所属すればするほど、今動いているサービスの成り立ちなど昔のことを知っていたり、機密情報に触れる機会が多くなるのは当然のことで、その人しか知らない情報も存在してきます。
これが全国に支店を持ち、ジョブローテーションも頻繁に行われる会社であれば、ひとりの人間が同一の組織に深く係わる機会も少ないと思います。
しかし、小規模の会社であれば、長く所属しているだけで、会社の歴史や運営方針まで知り得ることが可能となります。
知識は力となります。
人は最初から害悪ではありません。最初は「組織のことを何でも知っている」と頼りにされる「知恵袋」「ご意見番」的な存在であっても、それが続くと「自分が居なければ会社が困る」から「自分が正しい」と、間違った方向に自尊心を増長させてしまう人が出てしまうのです。←今ここにモンスター上司爆誕!!
しかし、よく考えてみてください。
そんな大事な知識を一人だけで握って自らの立場を維持している行為自体が重大な裏切りだとは思いませんか?
本当に誇りを持って仕事をしている人、本当に優秀な人は、組織のために、知識や作業を「属人化」させないように普段から心がけています。情報を如何に「秘匿するのか」ではなく、如何に「開示するか」に時間とエネルギーを注ぎます。
何年も蔓延って、知識を独占し次世代の育成の妨げをしている状態、もし最初にこの害悪の処遇を変えていたら、今の組織は社員が何人増えているか想像できているのでしょうか?
それだけ組織の成長を阻害しておきながら、何らかの理由で害悪が辞職したら、その組織には何が残るのか想像できているのでしょうか?
組織にとって人は「財産」と言いますが、労働人口が減少することが確実な中「財産」と呼ぶに値する人が誰なのか真剣に考えなければならないと思います。